「障害者雇用で働いてみた」シリーズ3回目は、
夫で発達障害のケイさんの障害者雇用をふり返ります。
ケイさんと私の体験談(失敗や気づき等)はあくまで個人的なことですが、
障害者雇用を目指す発達障害の人や、
すでに障害者雇用で働いている人が、より良い職場を見つけたり
仕事の継続につながるためのヒントや参考になってくれたらうれしいです!


ケイさんの職歴
職種
システムエンジニア(SE)
雇用形態
正社員
大学卒業後、同じ会社で10年余り勤務。
国内転勤、海外出張しながらバリバリ仕事をする。
障害者雇用で2社勤務
1社目
3年2か月(就労継続支援A型)
2社目
2年6か月~(現職)
過酷なSEの現場仕事から双極性障害を発症し、
10年余り務めた会社を退社。
その後およそ7年間無職が続く。
就労継続支援B型→就労移行支援→就労継続支援A型を経て
現在、国の機関で障害者雇用(非常勤)で働く。
7年の無職から1歩をふみ出す 1社目

ケイさんの障害者雇用1社目は、
7年のブランクから1歩ふみ出すきっかけとなった就労継続支援A型。
※A型はいわゆる福祉的就労であり「障害者雇用」と言えないかもですが、
在籍期間が長かったこと、給与(最賃)を得ていたのでここでは障害者雇用として含めました。
応募のきっかけ
私が見つけたツイッター情報(近くにIT特化のA型事業所があると知り応募)
職種
A型の利用者
雇用形態
パート社員
在籍期間
3年2か月
選考プロセス
面談(主治医の意見書持参のみ)
*利用には自治体が発行する受給者証が必要です(障害福祉サービス用)
仕事内容
データ入力、HTML
CMSの修正
清掃、軽作業 等
20代~50代の利用者30人余りが在籍するA型で、
発達、精神、知的障害の人と一緒に仕事をする。
官庁などへ行く「施設外就労」も。
簡単な仕事が多くてやりがいはなかったな
働くための”リハビリ”にはなったけど
A型事業者(厚労省が決めた補助金)の都合で、1日4時間しか働けなかったので
もっと働きたかったケイさんは物足りなさを感じていました。
とはいえ
7年のブランクからいきなりフルタイム勤務は難しいので、まずは1日4時間働くことからスタート。
ケイさんにとって7年ぶりの仕事。
しかし、A型の仕組みの問題ですが、
職員が積極的に利用者に就活をすすめません。
利用者みずから応募書類の添削や面接の同行をお願いすれば応じてくれますが、
基本的に自力での就活になります。
また、利用期限がないため、何年もA型に居続ける人もいます。
徐々に勤務時間を増やして次のステップへ進みたい人にとって
物足りなさを感じるかもしれません。

43歳で初めて作った履歴書と職務経歴書
実はケイさん、
就職活動の経験がありませんでした。
大学在籍中に所属研究室の先生から就職先を紹介され、
就活をすることなくコネ就職。
そのまま10年余り同じ会社で働きました。
就労継続支援A型に入る際、必要(応募)書類は「主治医の意見書」のみ。
企業の就職面接とは遠い、1度のゆるい面談で決まったので就活とは言えず。
A型で働きはじめて2年目、そろそろ1日4時間勤務では収入面でも物足りない…。
ぼちぼち次のステップへ進もうか、
という話に。
そこでケイさん、
43歳にして生まれて初めて履歴書と職務経歴書を作ることに。
とはいえ、
どこからどう作ればいいのかサッパリだったみたいなので、
転職10回以上の私まどりの履歴書と職歴書をサンプルとしてケイさんに渡しました。
出来上がるまでに私のほかに、何人かの方に添削をお願いしました。
人材紹介会社の知合いの方、ハローワークの方、A型の支援員。
(ありがたや)
2~3か月かかり、ようやく完成。
6枚に及んだ職務経歴書

履歴書はすんなり作れたケイさんでしたが
職歴書に苦戦。
出来上がった職歴書は、ASDの特性もあってか(?)1から10まで細かく書きすぎて
6枚にも及んでいました(;^ω^)
採用担当者は、1人の応募者の書類に時間をかけて見ていられません。
私はケイさんの職歴書を添削し、1枚半くらいに削りました。
渾身の力作が3分の1以下に削られてケイさんは不満そうでしたが(笑)、よくまとまったSEの方の職歴書のサンプルもいくつか見てもらって納得してもらいました。
自己PRでつまずいていたので、最終的にケイさんにインタビューをしながら
私が半分くらい文章を書きました←
夫婦二人三脚で進めた就活でした。
ケイさんのペースで就活を進めたものの
A型で働きながら、1年半で10社くらい応募。
しかしすでに40代半ばのケイさん。
50社応募して1社決まるかどうか…と私は覚悟していました。
このスローペースでの応募では、あと5年はかかってしまう!
私が焦っていました。
そして、
私自身も障害者雇用2社目で行き詰まり、転職活動をすることに。
しかし書類選考が通り、応募先の面接が決まった矢先妊娠が発覚。
ケイさんに相談すると、
その会社おれも応募したい
45歳で転職に成功 2社目
今日もいい仕事ができたよ
今の会社に転職してから、毎日やりがいを感じているみたいです。
よかったよかった。
応募のきっかけ
私がホームページで見つけた会社(国の機関)
職種
事務職
雇用形態
非常勤
在籍期間
2年6か月目(現職)
選考プロセス
書類選考 →面接
*面接にA型の支援員が同行
*面接時間およそ45分
仕事内容
ヘルプデスク全般(PCトラブルシューティング、キッティング等)
VBAマクロ、軽作業
いまケイさんは、
研究者や医師などが使うPCの設定やサポートに毎日動き回っています。
この職場の特徴として、
- (ケイさんの)スキルと経験に合わせた業務を任せている
- (ケイさんの)特性に合わせた業務設計(多動で飽きっぽいので、毎日違う場所、違う人と仕事をしている)
- 障害者も健常者も同じ時給
- 発達障害、精神障害の人の雇用実績がある
- 精神疾患全般を研究している
障害者雇用は、一般枠(健常者)より低い賃金しか見たことがなかったので
同じ時給に良い意味で驚きました。
私が妊娠発覚前にこの会社の非常勤(一般枠)に応募した時、採用担当者に思いきって
「私は発達障害がありますが応募できますか?」
と聞きました。
あっさり
「もちろんいいですよ。とりあえず書類を送ってください。」
と言われて拍子抜けしました。
そして、一般枠かつ障害をオープンにして応募。
書類選考が通り、面接の運びになりました。
(面接が決まったあと妊娠がわかったため、泣く泣くキャンセルして代わりにケイさんが応募することになった)
こんな職場があるんだなぁ(嬉
ケイさんによい職場が見つかってよかった…
まとめ
ケイさんの障害者雇用2社目(現職)と、
私の障害者雇用1社目の共通点として、
共通点
- 発達障害の人の雇用実績がある
- ハローワークでは見かけない求人(自社ホームページの採用ページで募集)
- 採用担当者(最初の窓口)が発達障害にある程度理解がある
- 障害者雇用の中では待遇が良い
なかなか表に出てこなくて目立たない求人かもしれませんが、
根気よく長い目で探すと良い職場はあります。
ケイさんの障害者雇用をふり返ると
私のサポートと情報収集のおかげでケイさんの今がある!
と気づきました。
誰か私を褒めて(笑)。
私の10回以上の転職経験、
ADHDの特性(情報依存)、
これまで勉強してきた社会福祉の知識が総動員されて、ケイさんの社会復帰に役立ちました。
自分の短所やマイナスと思っていたことが、大切な人の役に立ったのは素直にうれしい。
今日もいい仕事ができたよ
ケイさんから毎日この言葉を聞くのがとてもうれしいです。
